窪田氏ほかが紛争時のサービス提供と市民の国家意識について議論

紛争後社会の復興に際しては平和な環境が重要であるものの、そうした社会では国家の正当性に関する土台が欠如しているため、暴力の不在自体がすぐさま発展に向けた動きにつながるわけではない。当該論文では、市民が持つ国家の正当性に関する認識が紛争時の公共サービスの経験によってなぜ、またどのように高まる(もしくは低まる)のか、について検討している。
パキスタン北西部地域(特に連邦直轄部族地域)で行った質問票調査から、窪田氏らは紛争中に国家からサービス提供を受けた者ほど国家の正当性を強く認識し、反乱軍からサービス提供を受けた者ほどその認識が弱くなることを明らかにしている。国家の正当性は紛争後の持続可能な発展に向けた政治的安定と国民の団結に大きな役割を持っている。紛争中の民軍関係が市民の政治的正当性の認識に影響を及ぼしていることに鑑みるに、紛争後の開発の正当性と持続性を担保するためにはそうした住民の経験を十分に考慮に入れる必要があるといえよう。2024年6月に刊行された論文は以下リンクから参照のこと。

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