【セミナー報告】2024年8月30日にオンラインセミナー「紛争影響下における気候安全保障」を開催しました。気候変動は我々の日常生活により深刻な影響を及ぼす要因となっていますが、本セミナーでは特に、気候変動が「紛争」や「平和構築」にどのように関わるかを議論しました。気候変動は紛争の過程に影響を及ぼし、また紛争が環境悪化の一因となっています。本セミナーでは、地球環境戦略研究機関(IGES)の岡野直幸研究員と日本国際平和構築協会(GPAJ)の坂根宏治理事より気候安全保障に関する最新の議論の状況を紹介するとともに、紛争のリスク軽減のために気候変動にいかに取り組むべきかについて議論しました。
岡野氏は、IGESの気候安全保障に関わるこれまでの取り組みの他、国家の安全保障や人間の安全保障との比較の上での気候安全保障の持つ特徴の分析を紹介するとともに、国連安全保障理事会や、「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」COP28会合での議論の進展に関する紹介がなされました。岡野氏は、今後の課題として、気候と安全保障との関係性にかかるさらなる分析の必要性や、外交、開発、平和構築にかかわるアクター間の果たすべき役割と責任に関する検討の必要性についても言及しました。
坂根氏は、紛争と気候との関係について説明をするとともに、紛争リスクを下げるための適応策の具体的な取り組み事例や気候変動の緩和策に対する取り組みのあり方について言及しました。
参加者からの質疑、意見交換では、多くの参加者から、国連安全保障理事会での検討の状況や、気候変動の責任と開発の権利に関する先進国と途上国間の見解の相違、気候と紛争の因果関係、気候安全保障のリスクが高い国等について関心が寄せられました。(30/08/2024)