岩井文男内閣府国際平和協力本部事務局長、坂根JICA平和構築・復興室長、篠田英朗東京外国語大学教授の3名が報告し、藤重博美法政大学准教授のコメントを皮切りに参加者を交えたディスカッションが黒澤啓共立女子大学教授の司会の下に行われた。櫻田雅久氏がラポルターを務めた。
坂根室長:
世界中で勃発する紛争の現状
2000年以降、紛争は増加しており、紛争による犠牲者数も近年右肩上がり。
それに伴い難民も国内避難民含め増加しているのが現状。
(住む場所を追われた人は世界で約6850万人。)
又、難民の85%は途上国が受入国。
2017年のUNDPレポートによると、(アフリカでは)70%超の人が暴力的過激主義のトリガーとなったのはGovernment Actionと答えた。
岩井局長:
イラクでの事例
2018年5月に4度目の国民選挙が行われたが、現状としては安定化に向けた歩みが成功しているとは言い難い。政治/政治家への国民の不信感が募っているのが最大要因。一方、国民自身の依存的な体質も真の民主主義が浸透しない要因となっている。
篠田先生:
UNを中心とした国際社会の動向
国連A4Pが発表され、Peacebuilding/Performance/People/Politics/Partnershipを柱として政策が練られる予定だが、具現化はされていない現状。
又、世界の紛争地がアラブの春以降大きく変化したことに着目すべし。
(サブサハラ→サヘル/中東/南アジアへと広がった。)
参加者によるディスカッション:
支援カウンターパート
Central Government/Local Government/Local Communityの中で、どこを支援パートナーとして選ぶべきかで意見が分かれた。
藤重先生は9.11以降の“中央集権”や“国家建設”を前提とした支援に違和感を感じており、よりLocal Ownershipを重視し小さいコミュニティー単位で支援をすべきとの考え。
坂根室長はJICAの方針は紛争が発生・再発しない「強靭な国」作りであるが、Local Government/Community間の支援も行っていると主張。
黒澤先生は(他民族国家等であれば尚更)、Central Government の基盤作りがまず先決との考え。又、東日本大震災後の東北はCommunity主導の街作りが行われている為、良いケーススタディとなりうる点や、何をもってLocalというのか考える余地がある点なども指摘された。
国連活動におけるNexus
Security/Development/Humanitarian/PeaceのNexusが模索されている。
中でも、Security-Development Nexusが最も盛んで事例も多いが、一体感やLocalとの連携不足など、改善点も多々有。
又、Development-Security Nexusとは呼ばれない事に違和感を感じるとの指摘有り。一方でDevelopmentとHumanitarianはそもそも国家システムを通すか否かという前提が異なっており、親和性があるようで実はNexusが厳しいとの指摘有。
日本の支援方針
現状PKO派遣も中止している現状で、今後は派遣ではなく訓練/技術/情報で貢献すべきとの意見で一致した。
この分科会のラポルターは櫻田雅久氏が務めた。